この度、フランス教育学会の会長ならびに理事を拝命しました大阪大学の園山大祐(SONOYAMA Daisuke)です。本学会は1982年の設立以来43年にわたり、教育学の発展と会員相互の研究交流の促進を目指して運営されている学術団体です。学術の内側だけにとどまらず、教育に関心を持たれる多種多様な関係者の方々に向けて、より一層発信力を強化して参りたいと存じます。
本学会には現在100名ほどの会員が所属し、日本国内とフランス語圏の様々な教育事象や教育に関わる諸課題について活発に研究成果を発信しています。近年注目されている教育病理(いじめ、不登校、サイバーハラスメント、教師の働き方)の問題や、国際比較(国際学力調査、EU)がもたらす影響、マイノリティやインクルーシブ教育、あるいは教科教育(道徳、市民性教育)の関わり、学校(高等・社会)教育と労働市場の接続の問題なども多くの会員が取り組んでいます。さらに学習指導要領やバカロレア等の制度改革の動向などについても多数の研究成果が産出されています。
私どもの学会は、フランスを中心に自由な対話と積極的に社会に発信する姿勢に学び、長年にわたり国内外からも注目を集めて参りました。毎年秋に開催される研究大会では、会員が研究成果を報告し合い、交流を深めています。また非会員の方も参加されています。大会では様々なキャリア段階にある研究者が自身の研究成果を発信していますので、まだ本学会に入会されていらっしゃらない方もぜひ一度、大会等にご参加ください。
このほか本学会は若手研究者交流にも力を入れております。全国に分散している研究者のための交流会(研究懇話会、学習会等)のハイブリッド、オンライン開催などもしております。非会員の方も歓迎いたします。この点ではより一層力をいれて取り組んで参りたいと存じます。あるいは、研究成果の発信として紀要のバックナンバーのJ-STAGEへアップロードなども進めてまいります。2025年度に第26号から30号まで完了しております。なお、すでに創刊号から9号までは国立国会図書館デジタルコレクションに掲載しております。ご活用ください。紙媒体をご入用の方は、事務局あてに早めのお求めをお願いいたします。
COVID-19の感染拡大により、研究のあり方に変更を迫られた会員は多かったかと思います。また留学や在外研究を延期された方もいらしたかと思います。平時に戻りつつあるなか、会員の皆さんの更なる研究の進展を祈願し、学会を盛り上げていただければと考えております。2028年3月までの3年間の任期中に10名の理事にできることは限られておりますが、全会員の総力をあげて一つずつ進めて参ります。なかでも研究大会の充実(他学会、海外研究者との交流など)、紀要の質保証(投稿論文、招待原稿、書評等)、そしてシニア向けサービスと新入会員の開拓が取り急ぎ重要と考えています。
今後とも学会の発展のためにご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
園山 大祐(大阪大学)