2025年度⑤フランス教育学会懇話会<フランスの農村学校の教育実践に学ぶ>

【研究懇話会のご案内】
下記の要領にて研究懇話会を開催いたします。奮ってご参加ください。

日 時:2025年12月8日(月) 15時から17時30分
場 所:大阪大学人間科学研究科(吹田キャンパス)本館4階42教室
形 式:対面開催
テーマ:<フランスの農村学校の教育実践に学ぶ>

 映画”Etre et avoir”(邦題:ぼくの好きな先生)(2003年)をご記憶の方も多いと思う。フィリベール監督のドキュメンタリー映画で、フランス中央山地の小さな学校(単級学校)の日々を綴ったものだ。校長でもある一人の教員と幼児から5年生までの子どもたちの1年間の記録である。映画は封切りとともにフランスで大きな話題となった。ノスタルジーをかりたてたのだ。翌年、日本でも上映された。教員が一人だけという学校は日本にはない。このような小さな学校(たいていは2ー3クラス)は、フランスには20世紀を通じて多く存在したが、20世紀末頃からだんだんに減少する。また、小さな学校は、農山村地域の小さなコミューン(自治体)に属していることもあり、「農村学校」と言われる。フランスには、今もこのような小さな学校が数多く存在するが、その存立はこの30年来、大きな議論となってきた。

 本科研は農村学校の存立のあり方を検討するものである。「田園回帰」が言われて久しいフランスでは、農村といえども一様ではない。農村学校もその立地するコミューンの状況によって様々な課題を抱えている。異年齢の子どもたちが同じ教室でともに学ぶ農村学校では、都市の同年齢学級とは違う教育方法が工夫され、引き継がれてきた。その教育方法に着眼しながら、フランスの農村学校の存立、人口減少と向き合う学校の統廃合と各コミューンに学校を残す方策(ネットワーク化)、地域に根ざした教育のあり方などについて、日本の事例との比較の視点を取り入れて考察する。活発な議論が展開されれば幸いです。

研究代表者挨拶:赤星まゆみ(広島大学)

研究分担者からの報告:
岩崎久美子(放送大学)「小規模初等学校の地域基盤の実践:地域事例の分析から」
小笠原文(福井大学)「小規模校における芸術文化教育の現状と課題:日仏の比較を通して」

研究協力者からのフランス調査報告:
田川千尋(大阪大学)「僻地学校と進路支援:地域連携に着目して」「異年齢学級における学習を考える:導入まもない学校の事例から」
園山大祐(大阪大学)「単級学校を通じた異年齢学級を考えるー統廃合や教員不足への対案としてー」

休憩

討論